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人類に対する最初の神槌は、極めて高度な魔術が多くの生命を滅亡にまで追いやり、危険な意思やゆがんだ欲望が、自然の摂理をも侵しつつあった新暦1000年代初頭のことである。
この時、人類が勢力を拡大していた八大陸のうち、三つの大陸で人類滅亡劇が演じられ、残る大陸でも著しい人類勢力の衰退が実現した。
しかし、飽くなき欲望の化身であり、無から有を創造することに長けた人類は、その後二千年に満たないわずかな時間で、再び支配者の階梯に詰め寄ったのである。
自然界に混棲する大型肉食竜や巨人族、魔獣がいかに固体戦闘力に優れようと、人類の暴挙を留めるには至らなかった………。
それは、人類という種が、巧緻を極める頭脳と機知に富んだ生態を活かし、脅威には密集してこれを克服してきたがゆえであり、大型上位種が、統率や群棲という手段と方法を持たず、また神槌を畏れた遺伝子が、これを拒んだがゆえであろう。
だが、それも短く儚い支配であったのかもしれない。
再び神槌を担う大型肉食種には、強大な統率者達が控え、満を持して人類を淘汰する構えなのだから………
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