物語の舞台
3つの王国、2つの帝国、1つの共和国が互いに覇を競い合うあるユニヴェール大陸。
大陸全土を巻き込む5度目の戦争が終わったばかりであり、今はそれぞれの国で軍と社会の再興が進んでいる。
その中の1つ、大陸の北東に位置するミルヒシュトラーセ帝国が物語の舞台となる。
初代皇帝の時代から200年、帝国は特権階級である貴族が全ての権力を握っていた。しかし勝利でも敗北でもない、ただ人命の浪費のみであった戦争の結果、国家としての求心力は低下しつつある。そして現皇帝ズーベネルジェヌービ3世が高齢で病臥することが多いことも、それ加速させる要因となっていた。
帝都コンステラシオンから南に5000スタジア、東を海に接するサトリット郡の都、サトリット・アルファ。そこに住む主人公セレーネは、若くしてエトワールフィクス星宿爵家を継いだシリウスのもと、サトリット自警団の副団長を務めていた。
星紀1543年早春のある日、シリウスの姉であるクエーサー星斗爵夫人アルシオネの長女がカシェ教団にさらわれるという事件が起こる。
カシェ教団とは帝国の国教である慈教の一宗派であり、豊富な資金を背景にここ数年サトリットで勢力を伸ばしつつあった。
その過程で彼らは自警団との対立を強めていき、ついにこのような行為に及んだのであった。 アルシオネから事態を聞いた自警団は会議を開く。
教団を背後から操る者の存在を心配する声もあったが、それを理解した上でシリウスは決議する。「あの子を助けてやろう」と。
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