最終回:『六韜』に曰く「絶道」と
兵站基地を襲い,集結した補給車両をすごい数破壊するから,オーバーキル作戦

パワードール1」のステージ攻略連載も,とりあえず今回で最終回。製品を買った人はすでに「新しいキッドナップ難しいなあ」「三石琴乃さんの声,全部のステージに入ってるんだ」などと,それぞれにこの製品の魅力を満喫していることと思う。残るステージはぜひ,自分ならではの作戦立案と指揮で戦い抜いてほしい。
 今回扱うのは第4シナリオ「オーバーキル作戦」。敵の兵站基地付近に降下して,補給物資をトレーラーごと灰にするという,たいへん明快な任務である。兵站基地であるからには,敵戦線のはるか後方に位置し,支援砲撃が届かない。そして制空権も敵の手にある以上,降下進入の方法は,大型輸送機による高高度降下か強襲機による強襲降下のいずれかとなる。無防備な輸送機が低空を飛んだ日には,敵戦闘機に捕捉撃墜されるということだろう。

リワインド作戦全体は,マンシュタインの「チタデレ作戦」を念頭に置いたものらしい。敵を奥に誘い込んだうえで補給線を断ち切る。というより今回は,補給物資を直接破壊するのだが
そうしたわけで,輸送機を含む降下部隊1グループと,その活動中に制空戦闘を行う戦闘機隊1グループが,この作戦に投入できる戦力となる。ここで重要なのは,大型輸送機と強襲機の搭載力だ。エアクルーは総勢5名いるので,制空戦闘機隊に2名を割くと残りは3名。大型輸送機1機あたりのパワーローダー搭載数は6機,強襲機のそれは3機である。つまり強襲機で編成した場合,都合9機のローダーのみ投入可能なのに対して,大型輸送機なら全ローダー12機を余裕で運べる。というわけでここは初期設定どおり,大型輸送機・高高度降下を前提に考える。精鋭部隊とはいえ戦闘の基本は数だし,高高度降下/低高度開傘(HALO)こそが空挺部隊の華である。いや,パラシュートは使わないけど。
大型輸送機2機で全陸戦要員を運び,制空戦闘機も定数どおり配置する
中距離ミサイルは弾頭が二つということで起用してみるが,ご利益のほどは不明

対空戦闘はそこそこだが,防御に強いメリサ・ラザフォードさんは大型輸送機に

そんな次第で出撃隊員選びからだが,今回はハーディ隊長以下,単純にAP(アクションポイント)の高い順に4人とした。ファン・クァンメイさんとジュリア・レイバーグさんは同格だが,陸戦兵力を主体に圧倒的な数の敵に囲まれることを考慮し,対地攻撃能力と防御力に秀でたジュリア・レイバーグさんを出撃メンバーとする。
 AA(対空射撃)とCC(格闘戦),DF(防御力)の能力が高いエアクルー二人を優先的に戦闘機隊に割り当て,残る3人からDFの高い順に二人,大型輸送機に起用する。こうすると毎回,リーダーのエリオラ・イグナチェフさんが選から洩れてしまうのだが,彼女の能力はこの作戦の時点で,戦闘を経て上がっている前提で設定されているのだろうか? キャンペーンとして進めていない本連載だと,彼女はやや不遇である。
 逆に陸戦要員は今回,上はハーディ隊長から下はエリィ・スノウ嬢まで総力出撃だ。機体はX3AとX3ARだけで揃える。どんな敵がどのくらいいるか分からない地域に潜入して,派手にトレーラーを壊しまくる前提であるから,対車両,対パワーローダー,対目標物と,すべてにおいて隙のない装備で固めたいのがその理由だ。肩装備を積めない白兵戦型は,やはりなにかと不便なのである。
敵地での行動時には,むしろ武装を犠牲にしてでも索敵型の視界を広げたいことも多い

 索敵型はすべての武装を諦めて,マルチセンサを2個搭載した機体を2機ほど仕立てる。索敵型は2機が連携して動ければ進撃のペースが十分良好になるし,3機以上では部隊の総火力が下がるうえに,そもそもマルチセンサが足りない。今回の編成は主に武装の在庫の都合で,2機ごとに異なる任務を割り当てることになった。
 汎用型の装備としては,全機肩にグレネードランチャーを1基ずつ搭載させる。これは主にトレーラーを効率的に破壊するためである。兵站基地に輸送車両が集結しているとすれば,整然と並んでいる可能性が高い。そうでないと荷物の積み下ろし効率が悪いはずだから,これは常識的な推定といえるだろう。そこで,周囲6ヘックスにも被害を及ぼすグレネード弾は好都合なのである。なお,ロケットランチャーでもよさそうなものだが,連載第3回の結果から見る限り,威力がちょっと足りないように思える。今回はグレネードで行くことにしよう。そして手持ち装備は基本的にサブマシンガンと新型のアサルトライフルで統一する。前者は臨機射撃用,後者は敵が航空機を投入してきたときのための用心で,どちらも弾数に不安がない点が好印象だ。ただしサブマシンガンについては,一種の上位互換品として,同じD1兵器でより強力なガトリング砲を使う機体があってもよいだろう。
重火力班はMC88速射砲にガトリング砲

煙幕班はAP/AGともに低い新人が担当

残る肩装備×1の部分が,各機の役割とパイロットの能力をにらみ合わせる部分である。基本は105mmキャノン砲でよいとして,今回の任務ではより火力の高い砲であるMC88速射砲が2門だけ使える。また,ミサイル担当とスモーク担当も,それぞれ2機ずつくらい用意できれば安心だ。まずMC88速射砲は,AP(アクションポイント),AG(対地攻撃能力)ともに最高クラスのハーディ隊長とファン・クァンメイさんに使ってもらうことにしよう。AP負荷/使用APともに高いのがこの兵器の泣きどころであるから,疑問の余地はほぼない。まあ,ジュリア・レイバーグさんでもよいのでは? というくらいだと思うが,ファン・クァンメイさんは隠蔽を初めとして各種スキルを持っているので,実効APでは一段上なのである。
ミサイル班は高いAP負荷に耐える人材を

AGの高い隊員は105mmキャノン砲を活用

逆にスモーク担当は,AP/AGともに低いエリィ・スノウ嬢とアニタ・シェフィールドさんに,ミサイル担当はAGが低めだけれどAPは十分な,ライザ・モリーナ嬢とヤオ姉さんにお願いしよう。ミサイルは,命中率がAGに影響されない一方でAP負荷が高いため,こういう人選が最適となる。どうにも白兵戦組に冷や飯を食わせている気がして少々気が咎めるものの,今回の任務にはこれが最適と判断した。なにしろミッションブリーフィングにおいて,敵の動静がいっさい不明なのであるから,必須の任務以外のところでは,可能な限り手幅を確保すべきだろう。
そんな,索敵班/重火力班/煙幕班/ミサイル班が各2名,残る4名が通常の105mmキャノン砲装備という,割と美しいバランスの人員構成で,いよいよ敵地に殴りこむ。
降下直後,いきなり有視界距離で敵を発見。偵察車両なので生かして帰すわけにはいかない

 高高度降下においては,降下過程でとりあえず何も操作の余地はない。大型輸送機が目標地点で全機を下ろし,地上に降り立ったところからスタートである。索敵型2機にはすぐさまその場で索敵を実行させ,何はともあれ周囲の状況を掴む。見つけた敵はなるべく反撃を受けない距離からキャノン砲で片付けて,前進を開始しよう。
マップ中央付近の傾斜地からまばらな森を抜けて,兵站基地のある右下方向へ。今回は味方機が多いため,発見した敵を討ちもらす危険は比較的少ない。そこで索敵型は2機連携して4〜5ヘックス刻みで前方の視界を開いていく。ただし,重武装を施した汎用型に比べて,今回索敵型はAPに圧倒的な余裕がある。前方を広く見渡したいばかりに,うっかり列機が追いつけない位置まで突出したりしないよう,列機の移動限界をきちんと見極めつつ行動させたい。

傾斜地から兵站基地方向へまっすぐ前進。この段階では索敵機を守ること以外,あまり考えるべきことはない
森に囲まれた兵站基地の入り口で,うまく木々を目隠しにしている敵

 兵站基地は森に囲まれており,開口部,つまり森の切れ目は一箇所だけだ。敵味方ともに,直射兵器であるキャノン砲やマシンガンを愛用している以上,このシチュエーションはカウンターテロ部隊や特殊部隊のキルハウス訓練でおなじみ,一種のCQB(Close Quater Battle。屋内近接戦闘)と捉えるのが正解であろう。
CQBにおける突入制圧の基本手順はどんなものか。まず入り口を固めている敵がいたら,なるべく音もなくこれを倒し,壁際からいきなりドアを開けるや否や発煙手榴弾を投入,すばやく部屋の入り口側の隅に走り込んで,対角側を狙うのである。
ミサイルの使用は,射界に捉えるのが難しい敵に限りたい

パワーローダー同士の戦闘は基本的に有視界でなくレーダー越しで,おまけにこの場合壁でなく浸透可能な森であるから,室内制圧の基本をそのまま当てはめられるわけではないが,展開は似たようなものになる。実際レーダーで索敵してみると,敵は森の切れ目に1機,うまく射界が通らないように潜んでいる。これをミサイルで撃破したあとは,森の切れ目でなく森の中を慎重に進んでいく。
 すると案の定,森を切り開いた空間のうち,入り口寄りの隅にそれぞれ敵がいたりする。これらをうまく射界に捉えるには,右の敵なら通路の左寄りから,左なら通路の右寄りから射先が交差するように陣取る必要がある。いや,もちろんそのまま森の中を浸透前進して行って,グレネードやミサイルといった曲射兵器で片付けることも不可能ではないが,ミサイルは装弾数的に貴重だし,グレネードはご本尊であるトレーラーの破壊に使いたいうえ,射程が短く威力も今ひとつだ。やはり,キャノン砲とアサルトライフルを使った交差射線射撃が,最も効率的だろう。

左の敵は右側から,右の敵は左側から射線を確保するのが,狭い地形における射撃のセオリー
そんなこんなで入り口付近の敵をすべて片付けたら,引き続き基地を囲む森の中を前進する。入り口に警備兵力がいた以上,少なくともその反対側にだいたい同じ間隔で警備兵力がいることを想定すべきだし,もしかしたらそれ以上の敵が潜んでいるかもしれない。


トレーラーを片付ける前に,周囲を警備している敵をきちんと見つけて対処しておきたい。予想通り,基地の周りを囲む形で敵がいる
 警備兵力を片付けるべく前進し,索敵しているうちに,基地中央部でおびただしい数のトレーラーを発見することだろう。警備兵力を片付けたら,おもむろにこれらの破壊にかかる。肩に搭載してきたグレネードランチャーはR1兵器なので,狙ったヘックスおよびその周囲の6ヘックスに爆発被害が及ぶ。そこで,周囲をすべてトレーラーに囲まれたヘックスを狙って,グレネード弾を撃ち込むのが効率的だ。
 損害はランダムなので半端に討ち漏らしが出るものの,これはアサルトライフルで片付けていけばよい。ソフトターゲット(非装甲目標)が相手なら,キャノン砲を使うのはもったいない。都合10機がグレネードとアサルトライフルで固めている今回は,いとも簡単に全車両を破壊できるだろう。ただし,トレーラーといえどもマシンガンくらいは載っているので,すぐ側を無防備に通り抜けようとするのは禁物だ。手前側から順序良くきれいに破壊していこう。

グレネード弾が持つ周囲6ヘックスへの効果を計算に入れつつ,手前から無駄なくトレーラーを破壊していく
現在何パーセントの車両を破壊し終えたかは,随時確認可能

破壊した車両のパーセンテージは,消費APゼロの特殊コマンド「状況確認」を使えばどの機からでも随時見られるので,目標を達成したら撤収にかかる。まあきっと,全トレーラーを破壊する余裕は十分にあるので,そう焦ることはないが。
戦場からの離脱は,画面上部を走る街道に沿って徒歩で行う前提になっているものの,街道の両側が高地になっているのは精神衛生上よろしくない。もし高地のどこかに強力な敵が潜んでいたら,街道を通るこちらは上からつるべ撃ちにされる危険がある。そこで今回は,あえて街道の左側,高地の稜線に沿って街道終端付近を目指すことにした。
 それでも,すぐ上に敵がいたら割と危険なのだが,最下層である街道から慌ててよじ登るよりはましだ。例によって索敵型2機を囲みつつ,実際に高地を進んでいくと,都合3機くらいの敵に出会った。幸い大兵力ではなかったのでそのまま撃破して前進したが,やはり敵は視界の確保しやすい高地に,ある程度監視兵力を置いていたようである。

基本的に街道に沿って戦場から離脱すればよいのだが,今回は敵の待ち伏せの可能性を考慮し,あえて街道を見下ろす高地に進路をとってみた
高地の終端近くまで前進したら,そこから索敵を継続しつつ各機を街道に下ろしていく。索敵型1機は前方の街道方向を,もう1機は護衛とともに後方の高地を監視しつつ,街道終端中央の岩山まで進めば,順次戦場から離脱できる。これで作戦成功だ。
 連載も最後に来たところで,地形を活かして待ち受けている敵を,確実に倒しつつ進むという,割と初代「パワードール」のテイストに近い攻略内容となった。今回はグレネード装備で12機編成という,割とものものしいやり方をしたが,主目標がトレーラーなら白兵戦機で片っ端から壊すのも手だし,9機以下で侵入しても結果として十分楽しめそうなミッションである。

背後から追いすがる敵がいないかどうか,監視しながら随時各機を離脱させていけば,作戦成功だ
ほかのミッションに関してもそうだが,いったんクリアしたあとでも,より少ない機数で解くとか,白兵戦型の活用にこだわるとか,複座型の広い索敵範囲を活かすとか,自分なりのこだわりを発揮することで,また局面が変わる。こうした部分こそが,初代「パワードール」から引き継いだ,戦い方を自由にデザインできる魅力といえるだろう。
◆鈴木俊之(Guevarista)
PCゲームとのつきあいは,かれこれ20年以上になるフリーランスライター。PC雑誌およびインターネットメディアでのペンネームはGuevarista(ゲバリスタ。ゲバラ主義者)でおなじみ。それはよいとして,最近日本でも劇場公開されたチェ・ゲバラ二部作のおかげで,ちょっとミーハーに見えるようになってしまったのが,ひそかな悩みらしい。なお正直に述べておくと,初代「パワードール」との出会いは「for Win 3.1/95」から。元来バリバリのヒストリカルゲーマーだという。