第3回:Have you ever seen the rain?(雨を見たかい?)
今回挑戦するのは「ナイアガラドロップ」。これでもかという感じの大兵力で突破をかけてきた敵を山間部の街道で待ち伏せ,友軍の支援砲撃管制を務めて撃破するという任務だ。敵の総兵力は各兵科取り混ぜて14個中隊,つまりほぼ1個連隊規模である。こちらは陸上兵力を11機出せるので,特務中隊とはいえ2個中隊規模だが,なんにせよ正面から渡り合える数ではない。森の中に潜んでこっそり街道を監視しつつ,敵の主力には砲撃を滝のごとく浴びせ,討ちもらした兵力を地道に片付けていくことになるだろう。

「遠すぎたダム大作戦」がマーケットガーデンなら,「ナイアガラドロップ」はバルジの連合軍側と評すべきか
ええと,敵は各種兵科取り揃えて14個中隊登場するそうで……。自力で相手にするのはとても無理である

エアクルーには余裕があるので強襲機で輸送できる。より危険なSILVER FOXに,防御力の高いパイロットを当てる

まずは輸送力の限界を確認し,次に全体としてどんな装備の部隊が必要なのか考えてみる。対地支援部隊として友軍4ユニットが借りられるので,自前のパイロット5人はまるまる部隊輸送に使える。作戦原案ではローダー部隊を二つに分け,片方が索敵/監視,もう片方が討ちもらした敵の掃討に当たる前提だが,これは適切な案と思われる。そして,ぜいたくなことにどちらも強襲機で運べるわけだ。
そうしたわけでそれぞれの部隊の内訳については,かなり自由に考えられる。まず,先に降下して敵部隊の索敵/監視に当たるSILVER FOX部隊には,グレネードやロケット砲といったR系兵器による範囲攻撃力が欲しいところだ。いきなり敵の大部隊に出くわす前提である以上,自前の火力でもある程度対応できるようにすべきだろう。
それに対して,討ちもらしに対処するCHECK MATE部隊には,ミサイルとキャノン砲が欲しい。1機ずつ確実に仕留めるのが,こちらの部隊の任務だからである。


SILVER FOX部隊に組み込む隊員の機体は,すべて汎用機にしたうえで長射程のR系兵器を充実させる
どちらの部隊の任務についても,肩武装の有効活用が要になりそうだ。そこで今回は白兵戦型を出さず,索敵型以外はすべて汎用型でいくことにした。SILVER FOX用には肩武装の在庫から,キャノン砲+ロケットランチャー,スモークディスチャージャー+ロケットランチャー,グレネードランチャー×2,グレネードランチャー+ミサイルと,長射程のR系兵器を充実させた組み合わせを考えてみた。
今回CHECK MATE側隊員に設定した武装。ちなみにパイロットのライザ・モリーナ嬢は,支援砲撃車両の担当から転用した

森の中での監視任務なので,索敵型は思い切ってサブマシンガンも下ろし,マルチセンサで索敵範囲を広げてみる


マルチセンサを1個(左)から2個(右)に増やすと,ご覧のように索敵距離と索敵貫通力がそれぞれ1ずつ上がる
一方CHECK MATEに割り振る汎用型は基本的にキャノン砲+ミサイルで固め,一応スモーク係を一人だけ置くことにした。どちらの部隊も,手にはガトリング砲もしくはサブマシンガンという臨機射撃の必須アイテムのほか,これまた射程の長いアサルトライフルを持たせた。圧倒的な大部隊を向こうに回す以上,射程の長い兵器でないと逃げ遅れる恐れがある。SILVER FOXにはライフルより手持ちのグレネードランチャーのほうがよいかとも考えたが,いかんせん射程が短いのだ。
そして支援砲撃部隊のSUGARについて。考えたすえ,今回この部隊は不要と判断した。友軍の支援砲撃部隊が3個中隊,対地支援航空隊が2個中隊ある現状では,ローダー戦力の充実に努めたほうがバランスが良いだろう。なんだかんだで,自力で戦う場面はありそうな気がする。

今回編成した,SILVER FOX隊とCHECK MATE隊の内訳。ただし,CHECK MATE側に通信スキル(COM)持ちを多くしたのは,割と裏目に出た感がある
かくしてローダーは総勢11機,より危険な任務に当たるSILVER FOX側を6機にして防御力の高いエアクルーに輸送を担当させ,いよいよミッションスタート,降下シークエンスである。連載第2回で説明した基本手順を守りつつ,道路に面した森の手前に1機ずつ降下させていく。幸いなことにこれといった抵抗を受けることもなく,全機無事に降下を済ませられた。

敵の大軍が通るであろう道路から,森を一つ挟んだ位置に降下する
今回は敵が大軍である以上,見つかったら割とひとたまりもない。道路に出ることなく,森を突き抜けるレーダー波の透過能力(ゲーム内用語では索敵貫通力)を頼りにしつつ,道路横の森の中を進撃する。やがて点々と索敵範囲に入ってきた敵の車両やパワーローダーを,グレネードランチャーやミサイルで撃破したら,味方が集結している地点よりも少し上手(かみて)の道路にスモークを展開して我が方の前面を塞ぎ,より見つかりにくくする。視界を遮ることになるので,こちらもキャノン砲やアサルトライフル,サブマシンガンなどの直射兵器が使いづらくなるが,そんなときのためにSILVER FOX隊では,射線が通っていなくても使えるR系の曲射兵器を充実させたのである。

周囲の状況を確認し,迎撃に都合良さそうな地形に陣取る。道路まで射線が一部通り,かつ,まずくなったら森に逃げ込める位置は理想的だ

敵が姿を現し始めたら,支援要請と同時に煙幕の展開を開始する。敵に踏み込まれづらい,見えづらい,直射兵器が使えないと,隠密行動にはたいへん都合のよい道具が煙幕だ
敵が索敵範囲に入り始めたということは,その後ろに続く路上に,さらに多くの敵がいるはずである。そこで,主として見えている敵を航空支援,きっと敵がいるであろう路上を砲撃支援で叩く。爆弾やロケット弾にはR3,つまり目標とした地点から3ヘックス以内全域に被害を与えるという,かなりステキな弾も含まれている。とにかく敵を素通りさせてしまっては作戦失敗のおそれが大きくなるし,索敵範囲外の敵でも,攻撃が当たると画面に表示されることがあるため(爆発炎上の様子が見えるということだろうか?),敵を網にかけるつもりで,効力半径の大きい弾を優先的に使っていこう。

砲撃支援は範囲攻撃,航空支援には範囲攻撃と目標ユニットを決めての攻撃がある。航空支援を敵地の奥深くに設定すると,対空砲火で被害を受けることもあるので注意したい

R3の爆弾による支援は,ご覧のように効果絶大

こちらに向かってきた偵察車両は,最優先で撃破する

これら支援攻撃で損害を受けたものの撃破されなかったユニットや,運良く被害を免れたユニットが,やがて煙幕を乗り越えてこちらに向かってくるはずだ。それを,森の中からはロケットランチャーやグレネードランチャーで,キャノン砲装備機は森の切れ目で待ち受けて,順次撃破していこう。とくに視界の広い偵察車両がいたら,貴重なミサイルを消費してでも確実に撃破したい。支援砲撃をまともに喰らっていようが,敵のほうが圧倒的に数が多いのであるから,見つかったら危険であることまったくは変わらない。敵を取り逃がしても多少は許されるので,深追いせず,安全第一で横合いからの撃破に徹したい。

森の切れ目にはあえて煙幕を展開せず,こちらが直射兵器を使える“射撃レーン”状態にしておくのが,今回の布陣のミソだ
このミッション専用の特殊命令で,どの機体からでも0APで敵の突破状況を確認できる。11ユニット以上突破されたら負けだ

そうして30分(6ターン)ほど粘り強く戦い続けると,CHECK MATE隊の降下が始まる。砲撃,対地攻撃,SILVER FOXの攻撃をすり抜けた敵部隊を,街道の下手(しもて)で待ち受けるのが彼女達の役割だ。今回はこちらも強襲機2機に分乗させたわけだが,それを活かして川の両岸にローダーを降下させたい。こちらまで抜けてくる敵は三々五々という感じなので,なるべく隊員を分散させて,各所で敵を捕捉できるようにしたほうがよい。とはいえ索敵機の守りを固め,各自なるべく防御効果の高い地形で移動を終えて,隠蔽状態を保つのはもちろんだが。

CHECK MATE隊の降下開始。このときは不意に対空砲火を浴びて,1機めは一斉降下になってしまった

2機めの強襲機を川の向こう岸に向けて飛行させ,対岸にもパワーローダーを下ろす。敵がすり抜けて突破するのを阻止するためだ
見ていると敵は必ずしも街道上でなく,その横の森の中を進んでくる場合もあるようだ。とはいえ,基本的にこちらに向かってくるのだから,街道の終端を中心に展開していれば,ほぼ捕捉できる。結果として合計8ユニットほどに突破を許したものの,CHECK MATE降下後に突破されたのは,そのうち1ユニットのみ。これもどちらかというと,CHECK MATE各機が配置に着く直前に逃げ切られた感が強い。
街道上の敵を片っ端から砲撃してもらっても,実は十分に大兵力といえる敵ユニットが視界の外から続々と現れる

街道の上手(かみて)から見ると,明らかに川を挟んで反対側の山中を通ってきたと見られる敵も。これは想定外


相手が車両なら,汎用型パワーローダーでも十分に優勢な白兵戦を展開できる
そんなこんなで,さらに2時間強(24ターン強),敵を新たに突破させないように戦い抜けば作戦成功だ。実際のところ,CHECK MATE降下から1時間弱で事実上の勝敗は決まっている気もするが,万が一にも見落としのないようにということだろう。

どうしてまだ終わらないのだろうと思う頃に,友軍から通信が
今回のやり方はほぼ図に当たったと思うものの,ロケットランチャーの威力が思ったより低いことには注意したい。そして,SILVER FOXのほうもあまり範囲攻撃にこだわらず,ミサイルを多めに持っていけば,さらに楽だったように思える。支援砲撃を浴びせた時点で,敵の隊列が崩れ始めるせいか,実際には1機ずつ撃破する機会が多かった。当初の想定だとミサイルはあくまで緊急用と考えて,1機にしか持たせなかったのである。ともあれ,ミサイル,ロケットランチャー,グレネードランチャーといった長射程曲射兵器の使い方如何が,このミッションの成否を分ける最重要ポイントなのは間違いないだろう。
 
次回はキッドナップ作戦に挑戦する。
◆鈴木俊之(Guevarista)
PCゲームとのつきあいは,かれこれ20年以上になるフリーランスライター。PC雑誌およびインターネットメディアでのペンネームはGuevarista(ゲバリスタ。ゲバラ主義者)でおなじみ。それはよいとして,最近日本でも劇場公開されたチェ・ゲバラ二部作のおかげで,ちょっとミーハーに見えるようになってしまったのが,ひそかな悩みらしい。なお正直に述べておくと,初代「パワードール」との出会いは「for Win 3.1/95」から。元来バリバリのヒストリカルゲーマーだという。