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人類はまたひとつ神の力を手に入れた、しかしそれは新たな災いを導く


■惑星オムニ

西暦2452年、160年に及ぶ長旅を終えた移民団第1陣は、地球から60光年離れた惑星オムニに到着した。
人口の急増により荒廃しつつある地球とは対照的に、そこは原始の地球によく似た美しい世界が広がっていた。
彼らは立ちはだかる自然の前に多くの犠牲を払いながらもその星を開墾し、人々が豊かな暮らしを営むことの出来る文明の世界へと進化させていった。
しかし2535年、オムニを地球の管理下におこうとする地球政府派遣軍とオムニ独立軍との間に戦争が勃発する。
後にオムニ独立戦争と呼ばれるこの戦いは当初物量に勝る地球軍が優勢であった。
しかし独立軍の士気は高く、開発作業用パワーローダー改造の装甲機動歩兵によるゲリラ戦など、
各地で粘り強い抵抗を続けた結果ついに2540年地球軍は降伏する。
その後数年間に渡るジアス戦と呼ばれる内戦の終結後、主権惑星オムニは地球圏と並ぶ人類の新たな生存圏として発展を続けることになる。

■オムニ新時代

2588年、オムニ連邦宇宙軍は人類の長年の夢であった超光速航行の実用化に成功した。
しかしその時地球圏では深刻な不況に見舞われており、両政府間の平和条約調印直後から多くの移民がオムニに押し寄せる。
当初彼らは新移民と呼ばれ、地球とオムニとの平和の証として歓迎されていたが、いまだ亜光速航行で160年の時を経て到着し続ける旧移民と、計画無き新移民の増加は地球圏の不況をオムニに飛び火させることになる。
次第にオムニ市民の間でも移民を制限すべきとの意見が聞かれはじめ、新移民に対する差別が生まれる。
ついに議会は2608年移民制限法を制定、それは新移民の地方への強制移住を含む厳しいものであった。
しかし地球での苦しい生活を乗り越えてきた彼ら新移民は、強力な行動力と団結力を発揮し、次第に政治的、経済的に力をつけ始める。
そのなかでももっとも輝かしい存在はジョンとジミーのブラウン兄弟であった。
兄ジョン・ブラウンは大豊穣大陸西部のサイフェルト州で2618年新移民として初めて州議会議員に当選すると、2625年には州知事に選出される。
一方弟のジミー・ブラウンは経済界においてその実力を発揮し、彼のユートピアコーポレーションは地球との貿易を柱に短期間でオムニ屈指の大企業へと成長を遂げる。
彼らの成功は新移民たちに勇気と希望を与え、サイフェルト州には各地で迫害を受けてきた新移民が次々に移り住むことになる。
もともと勤勉な彼らを受け入れることはサイフェルト州の経済発展をさらに推し進めることになり、いまだ不況に苦しむ他州との経済格差が拡大する。
しかしそれは、不況の原因を新移民の流入によると考える他州旧住民との間に感情的対立を生むことになり、2635年に連邦議会がサイフェルト州の税負担を拡大する決定を下すと、新移民の間では連邦からの独立機運が高まっていく。
そして2636年3月に行われた独立の賛否を問う市民投票では90%以上が賛成に投じ、翌月サイフェルト共和国は連邦からの独立を宣言する。

■そして戦争へ

独立後も順調に発展を続けたサイフェルト共和国であったが、2637年8月に起った元独立反対派によるジョン・ブラウン暗殺事件により大混乱に陥る。
3ヶ月後の大統領選挙でジミーが第二代大統領に就任することにより混乱は収まるが、政治家としての経験の無いジミーは効果的な対策を打ち出せず、経済は1年たっても回復の兆しを見せなかった。
次第に国民はジミーの政策を批判するようになり、各地で反体制の集会が起る。
これに対しジミーは治安維持を目的とした秘密警察を設け反対者の弾圧に乗り出す。
さらに議会で政策を批判した議員を永久追放し、それに反対した議会を解散させる。

こうして独裁者となった彼は、かつて新移民の英雄と呼ばれた彼ではなかった。
自分に反対する者は容赦無く処刑し従順なものだけを自らの周りに置いた。
そしてさらに悪化する経済に対し軍事費は増加の一途をたどり、国民の生活は貧困を極めた。
そしてついに事態の打開策を国外に求めた共和国軍は、2642年10月国境線を超えオムニ連邦領内に進撃、両国は全面戦争に突入する。


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