Passage
歴史的背景

 西暦2000以降、増え続ける人口による食料問題、各地の紛争、資源枯渇による経済不安を解決するために、ニューフロンティアである「宇宙」を目指し、人々は旅立った。
 紛争が完全に消え去ることはなかったが、新たな世界への開拓という夢は、多くの困難を乗り越える力を人類に与え、科学や宇宙開発技術の目覚ましい発展を促し、亜光速航行を実用化するまでに長い年月は必要なかった。

 太陽系を不自由なく航行できるようになった頃には、国民の生活水準は大きく飛躍し、肉体と機械を融合させる「マンアンドマシン」のテクノロジーが進化していた。特に、アンドロイドの登場によって、それまで危険だった宇宙空間でのステーション建設や、各惑星や小惑星帯の調査、開拓、採掘を滞りなく行うことができるようになり、宇宙への進出は加速の一途を辿ることになった。

 西暦2000年の後期となると、超光速技術も実用化され、外宇宙への進出はますます拍車がかかった。この時代になると、太陽系及びその近辺の星から資源を採掘し、多くの物資を生産できるようになり、その結果、この生産力で増え続ける人口を賄うことができるようになる。また、太陽系から遙か離れた場所からも、宇宙ステーションを中継して大量の資源や物資が太陽系に流入することになる。こうして物資に恵まれた太陽系は、巨大な国家集団「地球連邦」として脈動し始めたのである。

 しかし、栄華の一途を辿る「地球」の影で抑圧された惑星のフラストレーションは高まりつつあった。 西暦3000年の末期。この過剰な物資の流出に、外宇宙の人々の不満は限界に達し、自らの富を守るために小規模な惑星同士が連合し、新しい勢力を誕生させた。惑星をまとめた代表者の名前から「ディック惑星連合」と名乗ることとなるその新勢力は、すぐに行動を開始。「地球連邦」に中継する各ステーションを襲撃、これを占拠し外宇宙の流通を完全に支配したのである。 この行動に「地球連邦」は抗議。然るべき手段に訴えると警告するも、それに対しディック惑星連合側は「物資の流出に制限を設け、それに見合う金額を支払うように」と要求。結果、宇宙を二つに分けた大戦が始まったのである。

 これが第一次銀河戦争である。