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魔法演奏楽器フォルテールを操る旅の音楽家である主人公。
なんのあてもなく、ただ放浪の旅を続ける主人公は、失われてしまったであろう、
とても大切な『何か』を捜し求めていました。

失われてしまったであろう『何か』……
そんなものが本当にあるのかどうかさえ分からない。
しかし心には、ぽっかりと大きな穴が空いたかのような感覚が続いていました。
主人公を常に激しく襲う虚無感。

そして、もう一つ気になるのは、 いつのまにか手に持っていた透きとおるように白い一枚の羽根。
その羽根を見るたび、主人公は謂れのない痛みで胸が一杯になるのです。
思い出さなくてはならない――強くそう感じる気持ちを信じて……
その『何か』を捜し求めて……主人公は今まで旅を続けてきたのです。

そうして主人公が流れ着いた先は、土の国の辺境にある小さな町、フォンティーユ。
そこで主人公は、その町の近くの川辺で歌を歌う、ある一人の少女と出会います。

その少女にしばし目を奪われる主人公。
そして少女の歌に呼応するかのように、主人公のもっていた羽根がほのかに温かみをもち、
淡い光りを放ち始めたのです。

いったいこれは!?

……高鳴る心臓の鼓動を落ち着かせ、主人公は少女に話し掛けます。

ですが、少女は何も話してはくれません。
――いえ、正確には話せなかったのです……そう、その少女は言葉を喋ることが出来ませんでした。

歌は歌えるのに喋ることができないという不思議な少女に惹かれ、
主人公はしばらくこの町に滞在することを決めるのでした。
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