キャラクター
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機械には限界がある。キャパシティを越える能力を身につけることは出来ないし、それを越えようとした時、機械は壊れてしまう。アンドロイドも例外ではない。悲しいことだが、これは事実であり、常識でもある。しかしその常識を破る存在がいる。トーニャ・ミシェルである。 彼女が求めているのは、自らの剣技の完成。トーニャにとって戦いは、命のやりとりではない。ひとつひとつの戦闘は、すべてが作品なのである。 血塗られた凄惨な殺し合いを芸術の域まで昇華されること。それをトーニャは求めている。そして事実、彼女は日々確実に向上しているのである。これはまさに奇跡である。それと同時に必然でもある。 戦いの場においてさえ、彼女はプロテクターの他に、わざわざ剣を扱いにくくするような重いガントレットを装着している。生命のやりとりをしながらも、自らに負担を強いているのである。そこまでして技の上達を望むトーニャ・ミシェルほどストイックな求道者は、いかに銀河系が広いといえどもそうはいないだろう。 心ない人々は、日夜研鑽を積む彼女の姿を見て「トーニャこそまさしく殺人マシーンだ」などという陰口をたたく。「そんなに剣を振り回したいのか?」と揶揄する。 口数が少ないトーニャは、そのような声にあえて反論しない。人は人。自分は自分。ただただ己が信じた道を追い求めるのみ。 その姿勢がますます誤解を増長させる。しかし彼女は決して、戦いを好んでいる わけではない。むしろ彼女は、心の中では戦いを忌避してさえいるのである。 本来の彼女は、情熱的で、正義感の強い心の持ち主なのである。ただ、同盟軍諜報部の一員としての立場から、彼女は反論を謹んでいるのである。 反論や言い訳を、彼女は自分に許さない。誇り高き戦士であり、剣士。それがトーニャ・ミシェルなのだ。 |
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美女と野獣を兼ね備えた存在。それがシェリー・リンである。彼女のこ惑的な瞳は、時に炎のように激しく燃え上がり、時に氷のような冷たさをたたえる。 レンズの奥に輝く瞳に熱を感じた男は、まず間違いなく彼女の虜となっている。彼女に魅了されてしまった。 妖艶なルックスとしなやかな肢体。上目づかいに見つめる視線をまともに受けて、彼女に夢中にならない男はいない。しかもシェリー自身には、誰かに媚びているという意識は皆無なのである。つかみどころのないシェリーの態度に、男は翻弄される。届きそうで届かない、届いているのかどうかすら解らないシェリーへの想いに、苦悩することになるのである。 だが時に、シェリーの瞳は背筋も凍る冷気を帯びる。それは彼女が狙いを定めた時。獲物を確認した時である。狙撃者の冷酷な心が、そこに現れたのである。ひとたび冷気を発したその瞳は、ターゲットを求めてやまない。シェリーはどこまでも獲物を追いかけ、つけ狙うであろう。 地表を時速800キロで疾走する列車のクルーを、惑星の衛星軌道上から狙撃したこともあるというエピソードを持つ彼女の射撃の腕前に疑いの余地はない。獲物を定めた彼女には、障害などなにひとつとして存在しない。不幸にもシェリーの獲物となった者は、常に彼女の影に怯えて暮らすようになることだろう。もしもその恐怖から開放される時がくるとしたら、その時は、あらゆるものに別れを告げる死の瞬間を迎えた時だけだ。 もしもその瞬間、シェリー・リンが目の前にいたとしたら、撃たれた者は幸せである。満足のいく射撃に成功した時にシェリーが見せる、他ではまず拝むことの出来ない恍惚の表情を目にすることが出来るのだから。 いずれにせよシェリーは、射貫くのが得意なのである。男の心であれ、心臓であれ。 |
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4人の女性アンドロイドの中で、彼女だけが純粋な戦闘用アンドロイドではない。スー・アンクティルは、医療を本来のエキスパートとしている。 彼女の最初の仕事は、とある高齢な富豪の看護であった。大邸宅にひとり住む孤独で気難しい老人に、スーは昼夜を分かたず献身的に仕えた。スーは優秀なナースだったが、老人は彼女にそれ以上の役割を求めた。ボディーガードとしての能力である。事実、老人は何者かに生命を脅かされていたのだ。 いかに主人を守るためとはいえ、戦闘能力を身につけることに抵抗がなかったわけではない。だがあくまで彼女の役目は、生命の保護である。守るべき対象が殺されてしまっては意味がない。それでは役目を果たすことが出来ない。そう考えたスーは老人の希望を聞き入れた。こうして彼女は守るべき主人のため、看護婦と戦士という二面性を持つことになったのである。 だがある日、老人はテロによって殺害されてしまう。この時、スーは初めて知ることになる。自分が仕えていた主人が武器商人であったことを。 献身的に介護した老人が売った武器のため、無数の人々が殺されていた。この事実にスーは戸惑った。戦闘能力を持った看護用アンドロイドという矛盾を抱えたスーは、途方に暮れた。居場所を失ったスーは、慢性的な人手不足に悩む軍事病棟に送られた。そこで彼女は運命的な出会いを迎える。 彼女が担当を任せられたのは、あるサイキックソルジャーであった。帝国軍に捕らえられながらも脱出し、その際の負傷から全身の3分の2をサイボーグ化することとなった戦士のリハビリが、スーの仕事である。その戦士との交流から、スーは漠然としつつも、いつか答えが見つかるような気がしてきた。 戦士に心酔したスーは、以後、彼と行動を共にするようになる。この戦士とは、言うまでもなくネメシス大尉のことである。 |
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妖精めいた尖った耳が特徴のスプレンダーだが、彼女はいたって現実的な思考の持ち主である。現状を様々な角度から分析し、決して一時的な感情の昂ぶりに動かされることはない。 その一方で彼女の言動は、決して理論的とは言えない。そのため時として、彼女の発言が周囲の者を戸惑わせることがある。あまりにも現実的に物事を見過ぎていて、たとえ周囲が熱に浮かれたような状態になっても、彼女だけはひとり醒めきっていることがあるからだ。 この性格にこの容貌。彼女をよく知らぬ者は、スプレンダーこそ浮き世離れした、まさしく妖精のような女性と誤解してしまう。 しかし一度でも彼女と行動を共にすれば、それが誤解であったことに気がつくはずだ。彼女は決して妖精などではない。どちらかと言えば、小悪魔と表現したほうがふさわしい。 この言葉に疑いを感じる者は、彼女の平手打ちを目にすれば、それを実感するはずである。 |
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彼女には製造番号しかなかった。便宜上、彼女は人々から"ジル教官"と呼ばれていた。同盟軍兵士達に格闘術を教えるための教育用アンドロイド。それがジル・レイの前歴である。 戦場に出る兵士達に戦闘の恐怖を教えこむには、通常のアンドロイドに施される皮膚コーティングなど必要がない。むしろ対面した相手に表情が無ければ無いほど、兵士達は恐怖を覚える。このためジルには皮膚コーティングが施されていない。 帝国軍との戦闘が激しさを増した頃、前線へ送る輸送船に彼女も同乗していた。当時の戦況は同盟軍に不利な状況にあり、兵員輸送途中に戦闘訓練を施さねばならないほど逼迫していたのである。 輸送船が任地についたその夜。同盟軍のキャンプを帝国軍が襲撃した。ジルは教え子である新兵達と共に、帝国軍精鋭部隊を相手に応戦した。 戦場に友軍が駆けつけたのは、翌朝になってであった。そこで増援部隊が目にしたもの。それは累々と横たわる死体の群れと、全身を返り血に染めながら、教え子の亡骸を胸に抱き、朝日を浴びる一体のアンドロイドの姿であった。 この事件以降、ジルは教官の職を辞し、兵士として戦いに参画することになった。兵員登録のためつけられた苗字は"レイ"。彼女を発見した増援部隊の隊長がつけた名前だ。部隊長はこの時、ジル・レイにある提案をしている。以下はその時の公式記録からの抜粋である。 「ジル、いやジル・レイ。君はもはや教官ではない。他のアンドロイドと同じように、皮膚コーティングを施してはどうだね?」 「その必要はありません、隊長。戦うために皮膚は必要ありませんし、表情が無いほうが、帝国軍を恐れさせることが出来るからです。」 |
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